Pixel Foldは2023年7月に国内発売されたGoogle初の折りたたみスマホです。
筆者も発売日に入手してメイン機として3週間ほど使い込みました。
ということで今回は、処理性能、ディスプレイ、カメラなどの詳しいレビューをお届けします。
Pixel Foldはかなり価格が高いので、実際に買ってみて後悔しないか、気になる方はぜひチェックしてみてください。
Pixel Foldは開封レビューも公開しているので、外観や付属品を詳しく見たい方はそちらもチェック!
- 高級感溢れるデザイン、質感
- スマホとして使いやすい外側ディスプレイ
- マルチタスク・電子書籍に最適な画面比率
- しょぼセンサーの割には良い仕上がりのカメラ
- 望遠はそこそこしっかり撮れる
- 使っていてワクワク、楽しさが止まらない
- 重い
- 発熱は激しい
- 処理性能は価格帯を考えるとしょぼすぎる
- ソフト面は今後の改善に期待
- 価格が高い
Pixel Foldの概要
Pixel Foldは2023年5月にグローバル発表、7月に国内発売されたGoogleの折りたたみスマホです。
国内ではGoogleストアのほか、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアから発売されています。
今回筆者はauにて白系のポーセリンというカラーを購入しました。
スペック表はこちら
Pixel Fold | |
国内発売日 | 2023年7月27日 |
メモリ構成(GB) | 12/256 |
カラー | Obsidian(オブシディアン) Porcelain(ポーセリン) |
チップセット | Google Tensor G2 |
本体サイズ | クローズ時:79.5×139.7×12.1mm オープン時:158.7×139.7×5.8mm |
重量 | 283g |
ディスプレイ | 外側:5.8インチ 120Hz駆動対応 内側:7.6インチ 120Hz駆動対応 |
バッテリー容量 | 4,821mAh |
充電 | 有線:最大30W ワイヤレス充電対応 |
生体認証 | 顔認証(外側ディスプレイのみ) 電源ボタン一体型側面指紋認証 |
防水防塵 | IPX8 |
おサイフケータイ | 国内版対応 |
背面カメラ | 広角:48MP F1.7 1/2インチ 超広角:10.8MP F2.2 1/3インチ 5倍ペリスコープ望遠:10.8MP F3.05 1/3.1インチ |
Pixel Foldのデザイン
まずデザインは個人的にかなり満足しています。もちろん主観にはなりますが、非常に高級感を感じる仕上がりです。
背面パネルはサラッとしたマットな質感のガラスで、側面は光沢のある金属フレームが高級感を演出。
ここは価格なりにしっかりと作り込まれている印象です。
また、今回購入したポーセリンの色味も上品な感じで非常に気に入っています。
このデザイン性や質感の高さはPixel Foldの大きな魅力、というか最大の魅力と言ってもいいんじゃないかと思いました。
個人的にはGalaxy Z Fold4よりも好きなデザインです。
Pixel Foldのヒンジ
デザインに引き続きヒンジ部分も良い仕上がりで、Pixel Foldはハード面が素晴らしい端末だと思います。
ヒンジの角度は無段階でしっかり固定できますし、剛性もしっかりしているのでビルドクオリティには安心感があります。
閉じるときの音もパタンと落ち着きのある感じで、ビビりながら開閉するといったことにはなりません。
ヒンジ部の厚さやゴツさもそこまで無いので、ヒンジもなかなか良く仕上がっているのではないでしょうか。
Pixel Foldのサイズ感
続いてPixel Foldのサイズ感についてですが、大前提として普通のスマホよりは重いしかさばります。
しかし、実際に使ってみるとスペック表の数字よりは扱いやすい印象です。
閉じた状態だと片手で持って操作や文字入力も割とできますし、重さも持っていればある程度慣れてきます。
少なくとも操作性自体は上の方に指が届かない最近の縦長ディスプレイと大きな差はありません。とはいえ、重さはさすがに手首への負担がそこそこあります。
また、見逃されがちですがPixel Foldは厚みが抑えられていることも特徴で、意外とサイズ感は苦になりません。
Pixel Foldの処理性能・動作
Pixel FoldはチップセットにGoogle Tensor G2を採用しています。
これはPixel 7 Pro/7/7aと同じもので、Pixel Foldが25万円の端末と考えると低すぎる処理性能です。
Tensor G2は2世代前のハイエンド並みの性能で、最近ではハイミドルと言っていいくらいの部類になってきました。
とはいえ、普段使いでストレスを感じることはありません。重めのゲーム以外であれば普通に快適です。
原神などの重めのゲームは設定次第で快適、という感じなのでゲームガチ勢の方にはおすすめできないのが正直なところです。
また、発熱も結構激しいですね。普通にChromeを使っているだけでもそこそこ熱を持つのでこの点は今後のソフトウェアの調整に期待です。
あくまで普段使いなら十分高性能という感じなので、ここで「スペック不足」や「価格と釣り合っていない」と感じる場合はそもそもPixel Foldはおすすめしません。
Pixel Foldのディスプレイ
それではPixel Foldのディスプレイをレビューしていきます。
今回は外側と内側それぞれのディスプレイに分けて見ていきましょう。
外側ディスプレイ
横幅のある形状の外側ディスプレイはPixel Foldの特徴的な部分です。
Galaxy Z Foldシリーズに代表されるFold系折りたたみスマホと言えば、縦長の外側ディスプレイが特徴ですが、Pixel Foldはそれとは対照的な17.4:9というアスペクト比になっています。
これによって、外側ディスプレイが普通のスマホとして使いやすいんですよね。
横幅はあるものの指も割と届きますし、それよりも上の方に指が届かない縦長画面特有のストレスが無いことが快適です。
また、画面比率的に動画も大きく表示できる点も気に入っています。ただし、このときインカメラが少し被ってしまうのが気になりますが…
一方で、外側ディスプレイが使いやすいことで「折りたたみスマホなのに開く機会が少なくなる」という良いんだか悪いんだか分からない皮肉な結果にもつながっています。
内側ディスプレイ
そんなPixel Foldを開くと7.6インチの大画面が広がります。実際大きいです。
開いても横に長いスタイルで、やはり他のFold系スマホと違うポイントですね。
横長の方が使いやすいと個人的には思っていて、特に漫画、電子書籍、Webの閲覧に適しています。
漫画や電子書籍は折り目がちょうど真ん中に来るので、実際の書籍のような感覚で閲覧できます。私はPixel Foldを購入してから漫画や電子書籍を読む時間が増えましたね。
また、WebはPC表示で自然に見ることができるので、ブログを軽く触りたいときに便利です。
その他のアプリについては1つだけ開くよりも、2つ並べてマルチタスクをすることをおすすめします。
アプリ側がこの横長表示に対応していないことも多いことに加え、横長画面で2画面表示するとそれぞれのウィンドウは外側画面のように普通のスマホとして使いやすいためです。
このコンセプトや設計思想は筆者も愛用していた2画面スマホのSurface Duoに近しいものを感じます。
他社の折りたたみスマホが大画面でタブレットライクな使い方を推していることとは対照的ですね。
折り目は気になる?
さて、「折りたたみスマホは折り目が気になる」という声はいまだによく見られますが、そんな方に少しお伝えしたいことがあります。
使っていれば気になりません。
また折りたたみスマホの折り目が完全に無くなることも無いんじゃないか、と思います。
大前提として折り目はありますし、触ればへこんでいることが分かります。
ただ、使っていてストレスや支障があるかというとそんなことは無く、画面表示も問題ありません。
また、「折りたたみスマホは折り目が無くなったら買う」といった声もたまにありますが、「技術的に折り目を無くせるようになったときにはスマホはもはやメインストリームじゃない説」を提唱しておきます。
ベゼルが太すぎる?
Pixel Foldについては発表時からそのベゼル(画面縁の黒い帯)が太すぎるという評判も多いです。
ただ、こちらも実際に使ってみると気になりません。むしろタブレットとして見れば十分細いと思います。
インカメラが内側の大型ディスプレイに干渉しないのでこれはこれでメリットと捉えることもできるかもしれません。
変にPixel Fold擁護派みたいになりましたが、いずれにしろそこまでベゼルの太さは気になりませんでした。
Pixel Foldのバッテリー持ち
Pixel Foldのバッテリー持ちですが、正直言ってあまり持ちません。
折りたたみスマホとしては大きめの4,821mAhというバッテリーを搭載しているものの、Tensor G2搭載モデルの中でもバッテリー持ちは悪い印象です。
個人的には普通に使っていても1日持つか微妙なところという感じで、しっかり使った日は夕方ごろには30~40%になるので充電したくなります。
発熱もしやすいのでそれだけバッテリーも消費されていくということなのでしょう。
特に内側画面の使用時はかなり減っていくので、心配な場合は別途モバイルバッテリーを準備することをおすすめします。
Pixel Foldのカメラ
Pixel Foldは広角+超広角+5倍ペリスコープ望遠の3眼構成となっています。
まずは広角での作例から。いずれも1倍か2倍です。
Pixel Foldのメインカメラはセンサーサイズが1/2インチとかなり小さいことが懸念点でしたが、思った以上にしっかり撮れている印象です。
おそらくTensor G2を搭載していることで画像処理が上手く、補正で頑張るPixelらしいカメラなんだと思います。色味も派手過ぎず地味すぎずな感じです。
細かい部分で物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、普段使いなら基本的には問題ないのではないでしょうか。
続いて超広角の作例です。
こちらも特に大きな問題は無く、十分撮れていると思います。
折りたたみスマホの特徴を生かせばこの超広角カメラでも自撮りが撮りやすいので、大人数で自撮りするときにも便利ではないでしょうか。
次に5倍ペリスコープ望遠の作例を紹介。5倍や最大倍率の20倍も合わせて並べてみました。
Pixel Foldのカメラで魅力だと思ったのがこの5倍ペリスコープ望遠です。折りたたみスマホでペリスコープを搭載しているものが少ないので、Pixel Foldの特徴的な部分と言えます。
画質の劣化が無く5倍ズームできるので、少し離れたところのものを撮影するのに最適です。また、最大倍率の20倍も被写体によっては十分使えるレベルではないでしょうか。
それでは、ポートレートモードや長時間露光モードの作例を紹介。
これらのモードはPixelお得意の機械学習が最大限活用されるものなので、十分実用的な仕上がりとなっています。
ただ、ポートレートモードは被写体によっては望遠カメラを使ってそれっぽく撮った方が良い仕上がりのような気もしました。
動画の作例がこちらです。
いかがでしょうか。個人的には「普段使いに必要なラインはクリアしているもののこれが25万円の端末と考えると…」という感じです。
普通に撮れて実用的なんですが、何となく物足りない気もしてしまうんですよね。
Pixel Foldの価格・購入方法
Pixel Foldは国内ではGoogleストア、ドコモ、au、ソフトバンクで販売されています。
ストレージはいずれのモデルも256GBで、取り扱いカラーは販路によって微妙に異なります。
価格 | 取り扱いカラー | 割引・キャンペーン | |
Googleストア | 253,000円 | オブシディアン ポーセリン | ⁻ |
ドコモ ※いつでもカエドキプログラム | 252,890円 ※実質149,930円 | オブシディアン | 9/1までの購入で30,000ポイントプレゼント |
au ※スマホトクするプログラム | 286,080円 ※実質147,660円 | オブシディアン ポーセリン(オンラインのみ) | 新規11,000円引き、MNP22,000円引き、機種変更16,500円引き |
ソフトバンク | 287,280円 ※実質143,640円 | オブシディアン | ⁻ |
いずれもオンラインストアで購入でき、キャリアであればショップでも購入可能です。
Pixel 7aやPixel 7で行われているようないわゆる「投げ売り」のような大幅割引は基本的に行われていません。
また、Pixel Foldのような折りたたみスマホはリセールバリューの下落が激しく、故障の心配もあるので残価設定プログラムや保証サービスがあるキャリアでの購入も割とおすすめです。
また、発売から1ヶ月ほど経って、イオシスなどの白ロム専門店でもPixel Foldが買えるようになっています。
定価より安い価格で新品(に近い品)を一括購入したい場合はこちらもおすすめです。
Pixel Foldをメイン機として使ってみた感想
それではここからは、Pixel Foldをメイン機として使ってみた感想をまとめていきます。
Pixel Foldの購入を検討している方の参考になれば嬉しいです!
競合製品との設計思想の違い
ディスプレイの部分でも述べた通り、Pixel Foldは設計思想から競合製品とは全く異なる製品だと思います。
これまでの折りたたみスマホが「開けばタブレット級大画面」「開いた状態がメイン!」というイメージだったんですが、Pixel Foldからは「私はあくまでスマホ」「開いたらスマホ2台分だと思ってくれ」というメッセージが伝わってきます。
そもそも、どちらかと言えば外側ディスプレイを普通にスマホとして使うのがメインで、必要な時に開いて使うことが前提になっているのではないでしょうか。
そして、開いても大画面でマルチタスクをすることが前提なので、どちらかというとビジネスツールに近い方向性に思えました。
開いたときの考え方はまさにSurface Duoシリーズに通ずるものがあると思います。
そのため、この時点で自分の用途と合っているかどうかが決まってくるはずです。手書きなどタブレットライクに大画面を使いたい場合は、Galaxy Z Fold4/5を買いましょう。
発熱が激しい
こちらも処理性能やバッテリーのところで言及しましたが、Pixel Foldは結構発熱が激しいスマホです。
もちろん、使用環境の影響や個体差もあるとは思いますが、熱は持ちやすいと感じました。
発熱が激しいことで、処理性能が6万円台のPixel 7aより若干低かったり、ワイヤレス充電の速度が遅かったりするデメリットが生じてしまっています。
バッテリー持ちも悪いため、この辺りはソフトウェアの調整で今後改善すれば嬉しいところです。
基本的には普通のスマホとして十分使える
さて、ここまでデメリットや欠点も多くお伝えしましたが、肝心の実用性に触れておくと普通にスマホとしては十分実用的だと思います。
処理性能も普段使いなら問題ありませんし、明らかに手が抜かれているようなポイントやバグ、不具合もありません。
ディスプレイの耐久性も十分だと感じましたし、買ってみて「こいつは使い物にならない」と感じることは無いと思います。
開かなくても外側ディスプレイだけで十分使えるので、折りたたみスマホデビューの方にもおすすめしやすい一台ですね。
正直言ってコスパは悪い
はい、初めからお分かりでしょうが、Pixel Foldをコスパで見ると最悪です。
25万円の端末としては処理性能が低すぎますし、初代機ならではの粗も使っていれば見えてきます。
カメラは割と良い仕上がりではあるものの、25万円出せばPixel 7 Proが2台買えることを考えるとコスパは微妙です。
Galaxy Z Fold4/5も同じ価格帯なので、より価格に釣り合った体験を求めるならGalaxyを選んだ方が幸せではないでしょうか。
それでもワクワク感は最高
ここまで言っておいてなんですが、私個人の感想だとPixel Foldはかなり好きです。
まずは外観ですね。これは最高です。ここまで良い仕上がりだとは思っていなかったので、これだけで所有感が満たされまくりです。
また、個人的にPixelが好きなこともあってGoogle初の折りたたみスマホということにもワクワクしてしまいます。
Googleが出すことで、スマホメーカー、アプリ開発者含めて折りたたみスマホ市場が盛り上がると思うので、Pixel Foldは大事な存在になると思います。
これまでの折りたたみスマホとも違う方向性を示してくれているので、そのワクワク感もありますね。
この辺りは人によって印象が大きく異なるとは思いますが、少なくとも私個人は「待っててよかった」「買って良かった」と思える一台でした。
Pixel Foldのレビューまとめ
本記事ではPixel Foldを実際に購入してレビューをお届けしました。
正直言って、万人におすすめできるものではありません。価格が高く、その価格に見合う価値があるかと言われると微妙な部分も多いです。
しかし、その分ワクワク感を持てる人にとってはかなり魅力を感じられる一台だと思います。
「実用性重視」「失敗したくない」という人は素直にGalaxyを買った方が良いと思いますが、用途によってはPixel Foldの方が使いやすいことも多かったです。
本記事からPixel Foldの楽しさが少しでも伝われば嬉しいです!最後までありがとうございました。
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